『出世花』

出世花 (祥伝社文庫)

同僚との不義密通の上、出奔した妻とその相手を追って、幼い娘・艶を連れて妻敵討ちの旅に出た武士。六年後、父娘は空腹のあまりに口にした野草の毒にやられ、道端に行き倒れ、たまたま通りかかった青泉寺の住職に助けられる。しかし父は寺に運ばれてまもなく、息を引き取り、残された娘は青泉寺で引き取られる。
青泉寺は、湯灌場、火葬場、墓所を備える「墓寺」。住職は艶に縁という名を与える。
十五歳の年、お縁は体調を崩した寺男たちに代わり、湯灌を手伝ったことがきっかけで、その後も湯灌に携わり、三昧聖と呼ばれるようになる。
丁寧で思いやり溢れるお縁の仕事ぶりは噂に噂を呼び、三昧聖に湯灌されれば、どんな身の上の者でも安らかに浄土に旅立てると、言われるまでになる。

母が踊りのお師匠に借り、それを私が借りた。すごく好きな本。江戸版おくりびとと言われているようだけど、おくりびとは観ても読んでもないのでよくわからない。
屍洗いと蔑まれることも多い反面、縁にこそ湯灌してもらいたいと言われたりする。『落合蛍』がせつなすぎて泣いた。時代小説にあまり抵抗がなくなったのは、宇江佐真理のおかげで、今までは彼女の本しか読まなかったけれど、今はこの作家の「みをつくし料理帖」に手をつけたところ。
この人の書く女主人公はいい子過ぎる気がするときもあるけど、可愛くて愛嬌があって好きだなあ。
男の子が主人公の『銀二貫』もよかった!!