『ロードムービー』

「騙される快感を知った」と言ったけれど、わかっちゃう快感もあるのよな。とはいっても本の背表紙のあらすじ欄に「いつか見たあの校舎へ」とヒントが書いていなければ、すぐにはあの作品に関係があるのだろうと思い当たらずに、そうしたら気づくのが遅れた…

『魔女は甦る』

私は動物全般がこわくて、鳥とげっ歯類と蝶・蛾がきらいです。なのになんでこれ読んでしまったのか…。『さよならドビュッシー』、『おやすみラフマニノフ』の作者の本なのでなんとなく読んでみたら、ものすごくものすごくものすごくこわかった。しかも救いが…

『花散らしの雨』

みをつくし料理帳シリーズの2作目。ふきちゃん、美緒さん初登場の回。澪と小松原の恋がもう気になって仕方ない。少女マンガ、それも昔のやつみたいな淡さでスロウさで、きゅんきゅんです。島本理生や井上荒野のようなのより、私はこのくらいの濃度の恋愛もの…

そのほか10月に読んだ本

おお、ほぼ辻村深月作品。久々に新規開拓して面白かったので、もりもり読んだ。全部が全部好きではなかったけど。例えば評判の高い『スロウハイツの神様』は私にはあんまり。『冷たい校舎〜』と同じくらいのインパクトがあってものすごい読ませられる?推進…

『出世花』

同僚との不義密通の上、出奔した妻とその相手を追って、幼い娘・艶を連れて妻敵討ちの旅に出た武士。六年後、父娘は空腹のあまりに口にした野草の毒にやられ、道端に行き倒れ、たまたま通りかかった青泉寺の住職に助けられる。しかし父は寺に運ばれてまもな…

『「冷え知らず」さんの しょうがの知恵』

このシリーズを会社でもらうことが多くて好きなんだけど、まさか本が出てるとは。生姜部っていうのは永谷園の社内部活で、2007年からあるらしい。レシピとか、冷え知らず豆知識とか、生姜部の活動とかがあるんだけど、いいなあ生姜部。入りたい…。活動内容と…

『冷たい校舎の時は止まる』

あまり評判はよくないみたいだけど、と薦められた(笑)本。確かに批判したい人が突きたいポイントはここなんだろうなーっていうのも少しわかったけど、私はすごく面白く読めた。高校生の、こういうところを、この人は何故こんなにちゃんと覚えてるんだろう。…

『お鍋ひとつで、できること』

[asin:477791822X:image] 長尾智子さんが好きです。レシピ本は買わないんだけど、この人の本は何冊か―和菓子の本と、『ベジマニア おいしく食べよう豆・米・野菜』っていうのと、スープの本を持っている。作って楽しくおいしいのは勿論、飽かず眺めていられ…

そのほか8月に読んだ本

『新釈走れメロス』

力いっぱい、だいがくせい!!って感じの小説。近代日本文学の5作を、現代を舞台に新釈したおはなし。この作家は個性的らしい、マニアックにファンな人がわりといるらしい、くらいしか知らなかったのだけれど、すごく面白かったので『命短し歩けよ乙女』も読…

『ごむにんげん』

久しぶりに再読。コバルト文庫って、小学校高学年から中学生にかけて一度は通る女の子って多いんじゃないだろうか。またまた食わずにイメージだけで毛嫌いしてたけど、このタイトルにやられて衝動買いしたのは中2のとき。まさに浩祥ワールドで、初めてファン…

『室の梅』

またまた宇江佐真理。おろく医者と呼ばれる、いわゆる検視官の美馬正哲と、その妻で産婆のお杏。捕物帳なんだけど、というよりは夫婦の物語にプラス捕物って感じ。もちろんフィクションだけど、でも面白かったし、この設定がいいなー。正哲は容貌魁偉、お杏…

『さよならドビュッシー』

8回目のこのミス大賞作、ということで雑誌の広告で見て気になって、それっきり忘れていた本。 ピアニストを目指す16歳の遙は。祖父と従妹と一緒に火事に遭い、ひとりだけ生きる。けれど全身大火傷の大怪我を負ってしまい、普通に生活することもできない体に…

そのほか6月に読んだ本

『風に舞いあがるビニールシート』

幼馴染に「きみのExにすごく似てる人が描かれてるよ」と薦められたのが最初。大学生の頃。今回は久々に読み返した。友達がゆってたのは表題作なんだけど、ほんと読んだ当時はぼろぼろ泣いたし、確かにExに似てるし、いちばん残る話だった。だからあの、ワニ…

『卵のふわふわ』

恋愛(がメインの)小説は基本的に読まないんだけど、この本は恋愛小説としてすごく好き。 隠密廻りの正一郎に嫁いだのぶは、自分にものすごく冷たい、時には手をあげたり、ひどく罵倒されたりもするけれど、美食家で甘えん坊の舅と、口は悪いけど優しい姑のお…

『彩乃ちゃんのお告げ』

教主様である小学5年生の彩乃ちゃんと、彼女を一時的に預かることになった人たちの物語。真面目で礼儀正しい、でも普通の小学生の彩乃ちゃんには不思議な力がある。『夜散歩』ではOLの女の人、『石階段』では高3の男の子、『夏散歩』では同じ小5の女の子と出…

『戸村飯店青春100連発』

この人の本は数冊読んでぴんと来なかった。読みやすいしYAとしてもいろいろな意味で「手頃」だなと思ってた。でもこれは当たり。ジャストミートって感じで、私にはすごくはまってしまった。大阪の下町にある中華料理屋が戸村飯店。ここの家のヘイスケとコウ…

『涙堂 琴女癸酉日記』

またまた宇江佐真理。この人の本の中でも、かなっり地味な本なんだと思うんだけど、結構好きだ。主人公の琴が、他の本の登場人物に比べてよくも悪くも地味で、平凡。息子のこととなるとヒステリックだったりする。でもすごく愛らしい人だと思う。宇江佐真理…

『&』1巻

まだ1巻だからこれから物語が動いていく感じだけど、これは期待大。26年間彼氏のできたことのない女の子が、メディカルクラークとネイリストのダブルワークをする話。でもなんだかサプリとかと違って、仕事より恋がメインぽい。そして西飼先生が気になる。海…

『キス』

長く離れて生きていた父と娘が再会し、恋に落ちてしまったノンフィクション。静かで激しい話。でもどちらかというと母との話をすごく語っていた。痛い本。父は神父で、主人公の母と別れたあとにできた家族と暮らしているんだけれど、娘を愛するようになって…

『荒野』

すごく面白かった。小説家の父と華やかな友人を持つ鎌倉の山野内荒野という女の子、の12歳から16歳までの物語。すごくリアルだ。中学生くらいの女の子に本当にすごく肉薄した物語。わかるわ懐かしい、でも決して戻りたいとは思わないと改めて実感する。私は…

『神去なあなあ日常』

面白かった。前に読んだ『漁師志願』にも少し似てるかな。お話云々も面白いんだけど、林業についての知識がいろいろ詰まっていて、そこに夢中になった。あと48年に1度の大祭のところはもう、圧巻。 この中に、「ヨキ*1が町で生まれ、山の仕事を知らずに育っ…

『菊池亜希子 おしゃれのはなし。 ずっと変わらず好きなもの』

はー可愛い。 大好きなモデルさん。下手なファッション雑誌よりよほど読み返してるし、きっと長く見返すと思う。 はー可愛い。

『告白』

読んだのは映画化が決まった頃だったけど、つい最近やっと映画のほうを観たのと、会社の人たちと話題になったから。いやしかしこれがデビュー作ってすごいよね。 話題になったのは、誰がいちばんこわいか。なんか『悪人』のときもそういう話したな。最初は少…

『虚ろ舟』

この人の著作はすべて読んでいるし、大好きなんだけど、これはちょっと異色作。知りたいから読んだけれど、とても「ああ面白かった!」とは言えない本。『泣きの銀次』シリーズの3作目で、銀次ももう50歳。このシリーズは本と本の間でかなりの年月が経つので…

『家族の深淵』

好きな書き手です。この人の日本語が好き。作家ではないので書き手、と呼ぶけど、ギリシャ文学についても研究者といっていいくらい詳しい人だし、文章もいい。最近よく名前を聞くと思ったら、震災の影響なのですね。これは往診先のいろいろをつづったエッセ…

『星間商事株式会社社史編纂室』

OLの生活だってドラマティックだし波乱万丈だよっていうお話があってもいいな、と思っていたときに出会った本。でもサラリーマンの悲哀あるあるじゃなくて、社会人じゃないYA世代が読んでも面白いもの。そういうのがあるといいなと思ってたら、あった。すご…

『赤朽葉家の伝説』

桜庭一樹の本は当たり外れが大きいけれど、これはすごく面白かった。お風呂で読んでのぼせた。 製鉄業を営む旧家赤朽葉家の女三代記。やっぱりひとりめの女、万葉のパートが面白い。 すべて読み終わっていちばん印象に残るのは豊寿さん。いちばん濃く強いキ…