『涙堂 琴女癸酉日記』

涙堂 琴女癸酉日記 (講談社文庫)
またまた宇江佐真理。この人の本の中でも、かなっり地味な本なんだと思うんだけど、結構好きだ。主人公の琴が、他の本の登場人物に比べてよくも悪くも地味で、平凡。息子のこととなるとヒステリックだったりする。でもすごく愛らしい人だと思う。宇江佐真理の本には1話完結の市井ものなんだけど、1冊通しては追っている事件があったり、謎解きがあったりする、このパターンって結構多いけど、そういうのも好き。何や彼やざわざわにぎやかにトラブルが起きたり平らかだったり日常が進むんだけど、誰にも事件や過去があって、ふいにそれに捕まる。もしくは捕まえたりする。いつかは向き合わなきゃいけないことって、きっとみんな持ってるんだと思う。あと琴の息子で絵師の賀太郎の恋のエピソードも思わず真剣に追い読んでしまう。